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東京・新宿のリビングデザインセンターOZONEで、
2012年2月16日~3月20日にかけて、 「日本の木と共に暮らす」と題するセミナー・展覧会が開催されます。 この催しは、国産材の種類、産地、さまざまな用途と魅力を紹介することを目的に、 下記のプログラムで開かれます。 わたしは、そのオープニングセミナーの講師を務めます。 お時間のある方は、入場無料ですので、ぜひ、ご参加ください。 ■2/16(木) 15:00~16:40 会場 新宿パークタワー1Fギャラリー 定員/80名 参加費/無料 オープニングセミナー 『日本の木と共に暮らす』 -「森の恵み・木のカタチ・2つのマンション改修事例を通して」 小池一三(町の工務店ネット代表) 尾崎正直高知県知事によるオープニングセレモニー ■3/2(金)16:00~18:00 会場/新宿パークタワー1Fギャラリー 『負ける建築とは』隈研吾氏(建築家) 高知・梼原より~ 高知県梼原町職員 ■3/9(金)16:00~18:00 会場 OZONE3Fプラザ 国産材「杉」の魅力について 3/9(金) 関原剛氏(協同組合ウッドワーク) 小田原健氏(株式会社ベル研究所代表) 芝静代氏(NPO法人緑の家学校主宰) 山田佳行氏(エコアス馬路村) ■土佐の自然素材で家づくり 2/17(金)、3/2(金)、3/3(土)、3/15(金)、3/16(土) 土佐材流通促進協議会 高知県庁職員 #
by sosakujo
| 2012-02-02 15:38
今朝、わたしの家の周りは一面の雪化粧で、雪がチラチラ舞うことはあっても、めったに積もらない浜松なので、驚いています。
わたしの家は浜松の北に位置し、坂の上なので、街に出るには坂を下らなければなりません。出勤するかどうか躊躇っていました。クルマはノーマルタイヤだし、雪道の怖さは知っていますので、こんなときは動かないことに限ると思っていましたら、どうも事務所がある南側は、自宅よりも雪が少ないことがテレビ報道で分りました。それなら行けるということで出発したのでした。 スムーズに事務所まで着きましたが、地域微気候ということを体験できました。風は、障害物によって異なりますが、天から降る雪は、微気候ということにならないと思っていました。今回の雪で、ほんの5km程度で、これほど違うのだ、ということを知ったのでした。 雪国での模様が、連日、テレビで報道されているので、昨夜、江戸時代に書かれた鈴木牧之の『北越雪譜』を取り出して再読しました。今回も話題になっている秋山郷のことが書かれていて、これは今読んでもおもしろい本だと、改めて思いました。 越後ちりめんは、雪あってのものですが、長岡の高田清太郎さんからのメールでは、雪おろしをぼやきながらも、うまい米と酒と引き換えと考えればいいか、と書かれていて、ホッとしたのでした。 #
by sosakujo
| 2012-02-02 10:32
このところ、原稿書きに追われています。
本屋に行って、立ち読みしながら、気に入った本を買い求めるのが至福の悦びでありますが、最近はwebで検索して、古本があれば古本を買っています。第一の理由は「安い」ことに尽きます。 わたしが読む本は、どちらかというと読まれていない本が多く、1円という値段のものが少なくありません。その書店は何で利益を挙げているかといえば、輸送賃のカスリです。幾らにもならないだろうと思いますが、何十円の利益が貴重だとすると、昨今の経済事情が透けて見えて切なくなります。 どんなに苦心して書いたかを考えると、本当は新刊で買うべきかも知れません。だから古本の購入は、少しばかり負い目がついて回ります。ただ、古本を繰っていると、前の読者が引いた罫線やメモ書きがあって、人の読書の後を辿っているようで、結構、楽しめます。 昨日、送付されてきたのは、アメリカの文明批評家であり、歴史家であり、フランク・ロイド・ライトとの交友で知られるルイス・マンフォードの『機械の神話』という本でした。 ルイス・マンフォードは、「風も室温も、夜も昼の明かりも人工的にコントロールする建築は地下街と同じだ」と言っていて、今、彼の初期からの本を読み込んでいます。 ルイス・マンフォードは、この本の中で、「前世紀に、主として数学と物理学が工学全体にあたえた衝撃の結果」として、「核エネルギー、超音速の輸送、人工頭脳、瞬時の遠距離伝達といった新しい領域」が開かれたが、「もしこの経過が弱められも糺されもしないで続くとすれば、さらにいっそう根本的な変化が行く手に立ち現れようと言っていて、今日を予言した書となっています。 この本が、1967年に書かれていたことを考えると、凄いと思いました。 『機械の神話』は、彼の仕事の集大成に位置づけられる本ですが、彼は処女作の『ユートピア物語』以来、ほとんど文明についての考察に費やしてきたのでした。この本の訳者が、フランク・ロイド・ライトの訳本や、ル・コルビュジェの『伽藍が白かったとき』 の訳者として知られる樋口清さんであったことも、うれしく感じました。樋口さんのことは、亡くなった遠藤楽さんから、いろいろなお話をうかがっていましたので・・・。 この古本の罫線と書き込みは、ほとんど全ページに及んでいて、驚くべき熱心な読者であることをうかがわせます。このため速読するのが、躊躇われました。 #
by sosakujo
| 2012-01-27 14:03
この正月は、原稿書きに追われていますが、ぼくの悪癖は脇道に逸れることです。今回は、古代の「風土記」に目が向きました。『常陸国風土記』を読んでいて、といっても漢学の素養のないぼくには歯が立たないため、もっぱら訳注本に頼るのですが、訳注者には親切な人がいて、たとえば『常陸国風土記』の「筑波」の項は、「備前国風土記」と、文全体の構成・漢文修辞のあり方、歌垣の歌の採取などそっくりさんだと書いていて、それにぼくは可笑しみを誘われたのでした。
よく見ると、各地の古代風土記は、同時期に作成されています。簡単に言うと、風土記とは、元明天皇の詔(官命)により、各令制国の国庁が編纂した、奈良時代初期の官撰の地誌なのですね。その内容は、 1.郡郷の名 2.産物 3.土地の肥沃の状態 4.地名の起源 5.伝えられている旧聞異事 が挙げられていて、現在、写本として5つが現存し、『出雲国風土記』がほぼ完本のカタチで残されています。あと『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した内容で残されています。 常陸国は、大化改新(645年)により646年(大化2)に設置されました。新治、白壁(真壁)、筑波、河内、信太、茨城、行方、香島(鹿島)、那賀(那珂)、久慈、多珂(多賀)の11郡が置かれ、石岡市に、国府と国分寺が置かれました。 都で官命を受け、官僚たちは、『風土記」の作成に乗り出したのですが、参考になる文献はなく、頭を悩ましたものと推量されます。都に戻っての「会合」で顔を会わせると、おそらく、「おい、どうしてる?」と声を掛け合い、情報を交換しあったのでしょうね。地域が違うのに似てしまったのは、そのためだと思います。 そのように割り引いて読み直し、その地域固有の表現となるのですが、あまりありません。「筑波」の項では、みんなが山に登り、歌を歌っていたというような記述で、他愛無い内容です。けれど、訳注者は、微細な違いを見出して、これはほかにない記述だと誉めそやします。 日本の官僚の元始の姿が髣髴とされて、ぼくには、そこがおもしろくてなりませんでした。 #
by sosakujo
| 2012-01-11 09:22
新年あけましておめでとうございます。
恙なく、よきお正月をお迎えのこととお喜び申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。 わたしの元旦は、NHKの「行くる年来る年」が午前0時を告げると、一人で近くの神社に出掛けて、祈願し、甘酒をいただいて戻り、そのあと、パソコンに向かって原稿を書きながら、『朝まで生テレビ』を聴き、番組終了後、コンビニに出向いてすべての元旦号の新聞を買い求め、家に戻ると、ちょうど初日の出の時間で、2階の部屋からそれを見て、9時にお雑煮とおせち料理をいただき、そのころ年賀状がとどき、年賀状に目を通し、新聞を読み込むというふうで、ゲンを担ぐわけではありませんが、毎年、このパタンにしたがっています。 今年の『行くる年来る年』は、年が明けるまでは鎮魂の番組でした。『朝まで生テレビ』は原発事故を特集していました。司会の田原総一郎の勘違いな発言が目立ち、論議が迷走していました。今年の初日の出は、地平線に淀む雲を破りながら顔を見せてくれました。 太陽エネルギー利用を、この28年間仕事にしているので、初日の出を拝まないと年が明けた感じがしません。今年は、省エネ・創エネ・蓄エネの三つがテーマになりそうです。独創的な展開をはかりたいと思っています。 さて、今年の新聞記事ですが、読みながらふいと頭を過ぎったのは、ジャン・ポール・サルトルの戯曲のタイトル『出口なし』でした。未曾有の天災と原発事故、止まらない円高、低迷する経済、停滞する政治・・・。いろいろな論評が出ていましたが、閉塞している現状を突き動かすものを、ついに見出すことはできませんでした。文明の黄昏、ということを感じました。 殊に、政治への幻滅が深いですね。脱原発に政治の舵が切られるかと期待しましたが、時の政権は、次々と原発再開の手を打っています。あれだけの災厄をもたらしながら、原発を海外に売ると言い出しています。原発事故は終息したといいます。 新年度の政府予算は、原発推進事業費に4188億円を計上しました。前年度から11億円しか減額していません。問題視される高速増殖炉の研究費は2359億円計上し、「原発推進」を予算的にも裏付けました。 この予算は、借金が歳出の半分を占め、国の借金は1000兆円を超えます。新年度予算を伝える朝日新聞の一面トップの見出しは「規律なき予算」というもので、消費税率10%を先食いする予算となっています。 昨年末、原発事故に関する、政府の「事故調査・検証委員会(委員長/畑村洋太郎東大名誉教授。委員には尾池和夫元京大総長など)」の中間報告書が公表されました。 国・東電の甘い対策が指摘されています。注目したのは、事前の過酷事故対策で、この原発事故が「起こるべきして起こったこと」を炙り出しています。これを読んで思ったことは、人類に原子力を扱う能力があるのかどうか、という根本的な疑義でした。 梅原猛は朝日新聞の元旦号で、インタビューに応えて、「現代の科学技術文明を基礎づけたのは17世紀の哲学」であるデカルトで、その哲学が3.11を経て「大きく揺らいでいる」との持論を語っていました。原発は「温暖化防止にも役立ち、人類の救世主のように思われたけど、結果として悪魔のエネルギーだった」と断定します。欧米文明にとって、森は未開の象徴です。森を壊すことで、人類は文明を築いてきました。このあたりのこと解く梅原の哲学論は、まことに示唆的です。 わたしはいま、ある依頼を受けて、筑波山麓の里山の形成について調べています。高度経済成長下の開発地、千里ニュータウンや多摩ニュータウンなどは、みな里山を壊して造成されました。つくば学研都市も同様です。 しかし、これらの里山群は原生林ではありませんでした。よく手つかずの自然といわれますが、古くから人が住み着いている日本では、原生林といわれるところさえ、ほとんど人の手が入っています。 つくばは、関東ローム層が地表を覆う赤土で、日照りが続くと土埃が舞い、雨が続くと泥に足を取られる痩せた土地でした。つくばは、オカボ(陸稲)・ラッカセイ・サツマイモの特産地として知られますが、言い換えると、それだけ生産性の乏しい土地であったということです。 この地の人は、痩せた土地でも成長するアカマツを植え、シラカシ、コナラ、ケヤキなどを植えました。アカマツは薪や木炭になり、建築用材になりました。コナラは、秋に葉が落ちず、春に落葉します。冬に茶色の樹冠をみせてくれますが、春の陽光を浴びた落葉は土地に滋養を与えました。コナラは、多くの菌類と菌根を作るため、菌根性のきのこが採れました。 つくばの林は、人が植え手入れを怠らず、育てたものです。今の日本の森林危機は、このようなあり方を放棄したが故に生まれたものです。日本の自然と人との関係は、その意味で文明的ではなく、文化的といえるものです。 この文化を駆逐してきたのが、日本的文明であって、それが転換点をむかえたことを、年の初めにしっかり認識しなければ、と思っているところです。 #
by sosakujo
| 2012-01-01 13:33
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