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昨夜、北京オリンピックが終わりました。
この夏休み、家で仕事をしていた関係上、乍ら族でオリンピックを見ていました。夏休み後も、折に触れてみるようにしました。昨日の男子マラソンは、愛知県津島で三澤康彦さんの建物見学会があり、車で移動しながらラジオの実況中継を聞きました。クライマックスは車を停めてテレビに切り替えましたが・・・。 1位は、サムエル・ワンジル(ケニア)、2位は、 ジャウアド・ガリブ(モロッコ)、3位は ツェガエ・ケベデ(エチオピア) で、アフリカ勢の独占でした。1位、2位は、これまでのオリンピック記録を大きく破るものでした。短距離はカリブ海の島から、長距離はアフリカ大陸からというわけで、こブログでの指摘がはからずも当たりとでました。閉会式で、男子マラソンの表彰式が行われました。 で、その閉会式ですが、開会式が圧倒的だったので、そう驚くことはありませんでした。というより、開会式後、「天使の歌声」が口パクだったとか、56の少数民族の衣裳を身につけて登場した人のほとんどが漢民族であったとか、花火はコンピュータ・グラフィックが多かったとか、いろいろなことがボロボロとでて、閉会式を素直にみられなくなっていたことが大きかったように思います。 演出は、共に映画監督の張芸謀(チャンイーモー)でした。この監督の映画は、処女作の『紅いコーリャン』はじめ、ほとんど見ています。監督になる前に出演した『古井戸』もみていますし、撮影監督した『黄色い大地』もみています。ぼくが好きなのは、というより張芸謀を買っているのは、『秋菊の物語』と『あの子を探して』の監督だということです。『上海ルージュ『HERO』は好みではありません。『紅いコーリャン』も『紅夢』も、色彩にはゾクゾクしましたが、演出としては肩に力が入っていて、ぼく個人としては買っていません。 この初期の作品における特定の色の強調は、このオリンピックの演出に濃厚にみられました。 開会式について、いろいろな批判があることに対し、朝日新聞が単独会見に成功し、報じていました。それによると、「天使の歌声」の口パクも、少数民族の件も「演出で認められる範囲」とし、中国当局の見解と一緒でした。 開会式で印象的だったのは、古代中国の四大発明を絵巻にした演出でした。インタビューは、この四つを中国の発明といっていいのかという質問はありませんでしたが、ぼくは印刷はグーテンベルクと思っていたものですから、少し戸惑いがありました。 中国が偉大な国であることに異論はありませんが、見解が分かれていることまで、オリンピックの開会式で断定的にやっていいのかどうか、ヒトラーの『民族の祭典』ではありませんが、ここぞとばかりに民族の優秀さが強調されていて、しかもそれらはすべて漢民族の発見だというのですね。 張芸謀は、中国の今後の行方について、会見の中で「政治的動揺や戦争がなければ中国は安定した道を歩めるだろう。私は楽観している」と答えています。 張芸謀は、文化大革命で農村に3年下放し、工場で7年労働した経験を持っています。彼は、いうなら苦労人なのですね。そのツライ経験が作品に投影されていて、屈辱を跳ね返すエネルギーみたいなものが、この監督の底流にあります。この根の暗さと、それを覆そうというエネルギーの放出は開会式でも、閉会式でも感じたことでした。 それは、『秋菊の物語』と『あの子を探して』の演出の方向というより、『上海ルージュ』や『HERO』の方向のもので、どうだというようにキツイ演出でした。 この会見で張芸謀がいう「政治的動揺」に、異分子の排除の論理はないでしょうか。 『秋菊の物語』と『あの子を探して』には、困った現実を柔らかく受け止める弾力がありました。描写に誠実さがありました。 会見での言葉には、チベットやウイグルの人、それから手酷い格差の底辺にいる人への目の注ぎがなくて、そんなことで「政治的動揺」してはならない、そんな動きは抑え込もう(オリンピック期間を通じて、海外メディアが問題にしたのは、まさにこの点でした)とする為政者の立場を代弁しているような、そんな発言ではないのか。果たして張芸謀は変節したのか、と・・・。この会見を聞きながら、ぼくはそんなふうに思ったのでした。 たしかに、映画ではいろいろな演出は許されますが、事はオリンピックです。その演出が虚飾に満ちたものであったことを是認してはいけないのではないでしょうか。
by sosakujo
| 2008-08-25 10:39
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