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秋山さんがトラックバックしてくださいました。
ぼくのブログは、いつも言い放ちのブログで、トラックバックへの書き込みができないつくりでしたが、これまでのやり方を改め、その第一弾を秋山さんが書いてくださいました。 あとで気づいたら、東大院生の上楢さんが書いていてくださいました。 うっかりしていて、すいません。 前回は「倫理」ということを問題にしましたが、秋山さんが普段言っておられるなかで、もうひとつ重要なことはアノニマス・デザインということだろうと思います。セルフビルドということも、この文脈のなかにあることで、この建築家を解く上で、アノニマス・デザインはカギになる言葉だとおもいます。 柳宗理に「アノニマス・デザイン」(『柳宗理エッセイ』平凡社刊)というエッセイがあります。 彼はアノニマス・デザインを、インパルス・デザイン(商品の回転を早めるため、移り変わりの早い流行のデザイン。くどくどしい、これみよがしのデザイン)に対比して語っていて、このエッセイを読んで、秋山さんのことが少し分かった気がしました。 というのは、秋山さんは建築家であり、デザイナーです。その秋山さんがアノニマス・デザインをいうのは自己矛盾ではないか、とぼくは思っていました。秋山さんのデザインに魅かれる人は、秋山個人がそこにあるからであって、誰がつくったのか分らないものを欲しているわけではなかろう、と思っていたのです。 柳宗理は、このエッセイで「健康な、平穏な美しさ」ということを言っています。その代表的な例としてブルージーンズを挙げ、鉱夫の衣服であったジーパンは、機能からディテールが決まっていき、染めやすさからブルーになり、綻びやすいポケットのつけ根だから銅製のリベットがつけられたプロセスを書いています。 柳は、続いて野球のボールの「健全な様態」について述べていて、鞣(なめし)革を赤い糸で縫い合わせた高次曲線の美しさを、用美の極地と述べています。それに比し、売らんがためのインパルス・デザインの貧を、彼は容赦なく衝くのです。 こうみてくると、秋山さんはブルージーンズや野球のボールのように、明快で、意味のあるデザインを欲していて、自分も、そういうものを生む一人の使徒に過ぎないと思っておられるのだということに気づかないではいられません。連日のように、氏がブログで繰り広げているモノへのこだわりは、このことを抜きにしては語れないと思うのです。
by sosakujo
| 2007-06-26 09:18
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