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小池創作所代表・小池一三のブログです
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原発の経済学
大島堅一さんの『再生可能エネルギーの政治経済学』(東洋経済新聞社)を読みました。原発は発電コストが安い、という話を根底から覆す本です。

今、言われている料金原価には、
1.発電に直接要する費用(燃料費、減価償却費、保守費など)
2.原発に特有の「バックエンド費用」(使用済み燃料再処理費、放射性廃棄物処分費、廃炉費)3.国からの資金投入(開発・立地のための財政支出)
4.事故に伴う被害と被害補償費
などは算入されていません。

エネルギーに関する国の財政出動の95%は原子力に向けられており、それは火力の106倍、水力の27倍に相当します。原子力はキロワットアワーあたり2円分を国が肩代わりしていて、「総単価」を電源別にみると、原子力10・68円.火力9・90円.水力7・26円.一般水力3・98円.揚水53・14円で、「原子力+揚水」は12・23円になります。

この本は、3.11前に書かれた本です。
今回の事故によって生じる損害賠償と、新たな地震対策を加えると、原発安価でないどころか、国民にとっては最も割高なエネルギーになり果てました。

今回の事故で、原発の「安全神話」は完全に崩壊しました。
もう新規立地は、全国どこでも無理でしょう。事故防止のコストが高くなり過ぎて、電力会社にとっても割に合わなくなります。古い原発は、今後次々と廃炉となっていくでしょうから、20年、30年という単位で考えると原発は細る一方です。
いま、原発に使われている国費を、「脱原発」に転じ、再生可能エネルギーに回せば、年間4000億円ぐらいの予算が生まれます。さらに再処理費をやめれば、その分の11兆円も回せます。

このようなことを、しっかり分析、立証している本です。
by sosakujo | 2011-04-30 08:55
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