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ノーベル賞作家の大江健三郎が、「パリ書籍見本市」(サロン・デュ・リーブル)に招請され、原発の再稼働へと動く日本政府の姿勢を批判する講演を行いました。大江は、脱原発による「経済的、科学的、防衛的な理由は2次的なものでしかない」と言い切り、日本国民は、それでもし経済が疲弊するとしたら引き受けるべきだと言いました。
大江の原理主義は見上げたものだと再認識しました。 最近の世論調査で、脱原発に対して、男性47%、女性75%と、意識の違いが明らかになっていますが、男性の意識の背景には、やはり経済問題があるのだと思います。 経団連の米倉会長の原発擁護の発言は、そこを根拠にするもので、意外と根強いものです。 しかしそれは、被災者の「もし原発事故がなかったら、家族がバラバラになることはなかった」という声に説得力を持ち得るものではありません。 起こってしまったことを、どう考えるのか、何を改めるべきか。 そこが、今、問われているのだと思います。 大江の発言は、この点で揺るぎなく一貫しています。そしてそれは「豊かさとは何か」を衝いているように思います。 この人の本は、初期の短編集が好きで、長編も『遅れてきた青年』 『個人的な体験』『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』『ピンチランナー調書』『万延元年のフットボール』など、いろいろ読んできました。ノーベル賞受賞以降の小説は、本屋で立ち読み・拾い読みするだけで、買って読んでいません。 小説と、氏の社会的発言は違うという見方もありますが、久しぶりに読んでみようかな、と思っています。 #
by sosakujo
| 2012-03-22 09:22
細野豪志原発相が、今朝(3/21)の新聞で、下北半島の核燃料サイクル施設について、これまで散々苦労して施設を受け入れてきてもらったのだから、今更、やめるとはいえない、という論旨の講演を、地元に近い八戸で講演したという報道がありました。
このところ、核燃料サイクル施設を巡っては、廃止が決められている「保安院」が、駆け込み的というか、最後っ屁と言うか、慌てて予算措置を取っているという報道がありました。気になっていましたが、やはりそういうことだったのか、というのが正直な感想です。 細野大臣の「青森の歴史を無視できぬ」という言い分は、沖縄の基地問題と共通しています。 昔、NHKの大河ドラマに『獅子の時代』というのがあって、会津で負けた武士たちが下北半島に移封され、荒地を相手に苦闘する姿(斗南藩の悲劇)が描かれたことがありました。 このドラマの主人公銑次(菅原文太)は、そのあと北海道で囚人生活を強いられ、また秩父事件にも加わるのですが、これはNHKの大河ドラマとしては異例のもので、脚本家の山田太一は、『岸辺のアルバム』だけの人ではないと見なおしたものでした。 「青森の歴史を無視できぬ」という記事を読んだとき、わたしは最近の核燃料サイクル施設のことだけでなく、斗南藩のことに頭が行きました。 それは戦後の沖縄の基地をめぐる前の、ずっとの歴史と重なることで、都合の悪いことは辺境に押し付け、近代国家を築いてきた、この国の歴史を問題を問うているのだと思います。 かといって、細野大臣の言説を首肯するものではありません。いやむしろ、こういうことで「恩返し」したと思っている政治の貧困が問題なのです。 核廃棄物は、トイレのないゴミだといわれます。 そのゴミを処理する施設ということは、つまりトイレを下北に押し付けているということです。予算措置は、その見返りです。何も本質的に解決しないで、現象を糊塗する政治が繰り広げられています。しかも膨大な利権が絡んでいると伝えられています。 一方、それでも地元は「歓迎」だといいます。 この「闇」は、この国そのものが抱える「闇」なのだと、朝から考え込んでいます。 #
by sosakujo
| 2012-03-21 07:09
久しぶりの休みに、スティーブン・スピルバーグ監督の最新作、『戦火の馬』を観て来ました。
ジョーイという美しい馬との出会いと別れを描いた映画ですが、映画らしい映画というか、淀川長治が生きていたら、きっと感嘆の声を挙げたに違いない、という映画です。映画館から出てきた人は顔は、みんないいものを観たというふうでした。 この映画の良さは、イギリスの小作の家庭から始まることです。ここで一気に感情移入させられます。 軍事用に徴用され、エピソードを重ねるたびに過酷な現実へと向かいます。 WEBで批評を探ると、「技術的に最高の」「堂々と感傷的な」「大胆にも古風な」などが出ていて、ウエル・メイド・プレイ(巧みにつくられた)な映画ではあるけれど、それは見事なもので、文句はありません。 ランドスケープの田瀬理夫さんは、馬は、最高のペットだといいます。遠野の牧場で、この話を聞きました。 田瀬さんのお話のあとに、亡くなった劇作家の木下順二に「ぜんぶ馬の本」という本を読み直しました。 天下の奇書とされ、シェイクスピアや漱石の文学と馬の関わり、馬に関する珍本奇本、美術品としての馬、大日本落馬史などが書き綴られたエッセイ集です。 この本を読んで、改めて馬はおもしろい、と思いましたが、それでも「最高のペット」というには、馬は普段の生活とは遠い存在でした。しかし、この映画を観て得心が行きました。 スピルバーグは、自身、15年間馬と生活したといいますが、ほんとうのことは、この映画を撮るまで分らなかった、と言っています。 わが家では、一匹のネコが待っていました。 #
by sosakujo
| 2012-03-05 17:05
町の工務店ネットの第2回総会、無事、終えました。
参加のみなさん、お疲れ様でした。 5人のスタッフで切り盛りするのは、少し荷が重くなってきました。 スタッフの増員を考えるべき時期にきたように思いました。 さて、会場となった十八楼は、長良川温泉の老舗旅館で、サービスも対応もよく、料理もおいしくてよかったです。 この旅館の前に、五木ひろしが唄った『長良川艶歌』の歌碑がありますが、その下の花壇に植えられていた花はパンジーでした。 この花は、フランス語では「思想」を意味する言葉だそうですが、シェークスピアの「夏の夜の夢」では、愛の媚薬となる花で、英語では、"ponce"(ヒモ)という単語の由来は"poncey"です。 そんな話よりなにより、パンジーが鵜飼の湊に似合う花かどうか、少し考えれば分る話です。無粋が過ぎます。 それよりヒドイと思ったのは、この古色豊かな川原町の町家の家並みに、ベーベルハウスの新築が建っていて、ありゃありゃ、と思わず声を挙げてしまいました。歴史的街区であるのに、と思いました。 仮に法令上許されたとしても、景観ということが頭にあれば、建築主も、これを建築したヘーベルハウスも、サイディング丸出しの建物は出来なかったと思います。 あまりに程度が低いというか、成熟した国ではあり得ないことです。 幾ら建築主から希望されても、ヘーベルハウスは断るべきだったと思います。 それとも、歴史的街区破壊をいいと思ってやっているのでしょうか・・・。 コマーシャルでは「エコ」を言っている企業ですが・・・。 建築は、恐いものです。 その場の空気感すら変えてしまいます。 いつも「恐い」を意識しながら、建築したいものだと思いました。 #
by sosakujo
| 2012-02-23 10:07
岐阜・長良川温泉を会場にして、昨日から、街の工務店ネットの第2回総会を開いています。参加者は151名。去年、神戸で開いた第1回総会の倍の参加者になります。
たくさん集まればいい、というものではありませんが、盛り上がることは確かで、部屋部屋で、昨夜は遅くまで喧々諤々の議論がありました。話すことは、建築のことが主で、ある参加者は、これまでいろいろな会に出てきたけど、こんなに建築が話題にされる会はここだけかも、と言われました。 参加費は3万円。宿代・バス代・講師料などを入れると、事務局は、それでも赤字になります。 参加者は、北海道から鹿児島から来る人もいて、その人たちは交通費を入れると、一人10万円掛かる人も少なくありません。 身銭を切って参加するメンバーだから、深夜まで、時間を惜しむように議論に花が咲くのだと思います。 昨年、神戸で耐震関係のシンポジウムを開いたとき、参加費が1万円といったら、大団体の幹部の方は目を剝かれました。お金を出してまで参加する人はいないというのです。その団体の全国会議は、交通費・日当付だそうです。 今日は、会議の冒頭な1時間程度、お話します。 準備は、ずっとしてきたのですが、今朝、思うところがあり、3時に起きて直しました。 どんなことになるか分かりませんが、がんばります。 #
by sosakujo
| 2012-02-22 07:58
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