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小池創作所代表・小池一三のブログです
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民主党政権とは何だったのか?
選挙の結果は、民主党の惨敗でした。
わたしは、この政権が発足したとき、正直なところ、よほどの失敗がない限り、8年程度は続くものと見ておりました。結果的には、よほどの失敗続きだったわけで、見込み違いだった、と不明を恥じています。

言わずもがなを言ってしまう、わたしの性癖を心配して、友人たちから、政治のことはあまり書かない方がいいと言われていますが、心に済まされないものを感じましたので、一言、述べることにします。

今回の選挙は、投票率が6割を切り、勝利した自民党の得票率は、同党が惨敗した前回選挙を下回っています。前回、あれだけの投票率と、今回、民主党が得た得票率との差が、この選挙の結果です。民主党は、何と2000万票を失いました。自民党が勝ったわけではなく、民主党が、いかに期待を裏切り、幻滅を与えたかを示す証左です。

何が、この結果を招いたのか、姦しく議論されています。
鳩山さんが沖縄でつまずき、菅さんが財務省に取り込まれて参議院選挙で消費税を言い出し敗退したこと、野田首相がやはり財務省の意向通りに消費増税に踏み切ったことなど、その稚拙ぶりは目を覆いたくなります。
与謝野馨さんが、また森本さんが大臣になったとき、一体、民主党に人はいないのかと訝しく重いましたが、お粗末というべきか、要するに自前の考え方と、人事方針を持てない政権でした。

同党の成り立ち、組織構成、人材などから見て、なるべくしてこうなった、と言えますが、長く続いた自民党政権の崩壊を見て、新しい時代が来たとついぞ期待したものです。

同党のお粗末をあげつらうとキリがありませんが、わたしは「ニューディールを実現できなかった」ことを理由の一つに挙げたいと思います。あまり指摘されていないことですが、わたしの中では、この期待外れが一番大きかったと見ています。

わたしは鳩山首相のときに、官邸で開かれた「成長戦略」のイベントに招待されましたが、結果的に見れば、この政権は「成長戦略」を言いながら、その多くは絵に描いた餅で終わり、ニューディールと呼べるものになりませんでした。

「緑の雇用」がいわれました。
ドイツでは、自動車産業を上回る雇用が林業で生まれている、日本でもそれをやろうじゃないか、と菅さんは言いました。しかし、ほとんど竜頭蛇尾に終わっていて、林野庁に設置された四つの委員会は機能せず、解体の憂き目に遭っています。
国家戦略室審議官だった梶山恵司さんが、退任後、朝日新聞のインタビュー記事で、ちゃんと仕事ができなかった残念無念を語り、官僚機構の度し難さについて述べていましたが、政治がしっかり機能していたら、それは突破できたことで、民間から就任した梶山さんを守らないばかりか、追い込んだ連中に怒りさえ覚えます。

「コンクリートから人へ」の「成長戦略」が、この政権の肝だった筈なのに、そこが崩れてしまいました。
再生エネルギーしかり、耐震改修しかり、観光産業しかりです。

同党は、結局、何事も成しえなかったとの見方が、この選挙において、壊滅的投票行動を呼び込んだと思われてなりません。国会での安部さんとの党首対決で、マスコミは野田さんは矜持を示したと言い、本人も昂揚した気分でいましたが、社会の深部にあるところの幻滅を、この首相は何も分かっていなかったのだと思います。

もしニューディールが実現され、新しい雇用が生まれていたなら、この選挙は、違う結果が出たと思っています。

今、わたしが恐れているのは、2%のインフレはいいけれど、住宅分野で予想される、消費増税による「駆け込み受注」とそれによる建材高騰を、それに加算してほしくないということです。
木材の国産化率50%に、長伐期林業を阻害する皆伐材をカウントするのと同じで、自民党はそれを成果にして、景気は上昇したと言って参議院選挙に臨んでほしくありません。

こういうウソをマスコミは、ていねいに記事にすべきです。
# by sosakujo | 2012-12-20 04:14
富山「野の家」のこと
富山上市の前川建築さんが、地元の古民家を購入され、それを改修してモデル&事務所にしたいという計画を立てられ、建築家と工務店が集まって検討会が開かれました。

わたしは、この検討会の企画者なのに身体を悪くして出席できませんでした。
九州・悠山想の宮本さんや、広島の沖田会長、それから出雲から7時間も掛けて、藤原木材産業の藤原さんが駆けつけて下さり、とてもいい勉強会になったという報告を受けました。

先週、金・土曜日に、遅ればせながら訪問を果たし、明治時代に建てられた古民家を見て参りました。500坪の敷地にゆったりと建てられていて、建物は70坪の平屋建、奥に蔵があり、最近、建て増しされた建物が渡り廊下で結ばれていました。

上市は、古来より立山修験の裏参道に通ずる場所として知られ、馬場島(ばんばじま) は、標高2999メートルの剱岳の登山口として知られ、、「試練と憧れ」の石碑が建っています。
上市には、幾つかの製薬会社がありますが、そのルーツは「富山の薬売り」です。あの独得の販売方式が、ここから生まれたのですね。またコシヒカリの父として知られる杉谷文之の出身地であり、最近では上野千鶴子さんが気をはいています。
富山市と比べると温度が4~5℃低く、冬季は雪が非常に多いことから、「特別豪雪地帯」に指定されています。町の花は、リンドウです。

前川さんは、この家をお蔵付で購入されましたが、怖くて、まだ開けておられないということで、鍵を持ってきていただいて中を見ました。冠婚葬祭、季節ごとの設えの道具がいろいろ置かれていて、輪島塗りの漆器の数は半端でない量でした。
近くの魚津は米騒動の発祥の地なので、小作制度の庶民レベルの生活は決して楽ではなく、だから、ここから全国に薬売りが飛び出していったのだと思いますが、旧家の生活は、文化的な厚みを持っていたことが、このお蔵から伺えます。

改修設計は、河合俊和さんが担当されます。エネルギーは、武山倫さんにバックアップしていただきます。

どこを、どのように改修するか、本丸の古民家に手をつける前に、増築分を改修したらどうか、というのが河合さんのお考えでしたが、わたしは今回の訪問で、いきなり「本丸(古民家)」の改修を申し出ました。
というのは、掛けられるお金が限られており、いつまで経っても本丸は手付かずでは、何のために購入したのか分らなくなるからです。

その角度から、時間を掛けて、本丸をためつすがめつ検分しました。
そうして、前川さんも、河合さんも、本丸改修ということで一致を見ました。
折に触れ、ビフォーアフターの顛末を、このブログで追っていくことにします。
# by sosakujo | 2012-10-29 09:51
石原東京都知事の辞職表明を聞いて
辞職を表明した石原慎太郎東京都知事を、英BBC電子版は「愛国主義的かつ物議を醸す発言で知られるベテラン政治家」と評しました。ただの辞職ではなく、国政復帰を表明しての辞職であり、物議を醸し、国政への影響力行使を狙っての動きです。

この知事は、脱原発の動きを冷笑し、この国の経済を考えないヤカラと言う人でした。尖閣については、「サムライたれ!」といい、ここでは一転して、経済なんかにとらわれるな、と言いました。
脱原発を言い続けることが、わたしは真の侍だと思うけれど、そしてこの二つの話に整合性はないけれど、知事の頭の中では奇妙に統合されているのでしょうね。

英BBCの「愛国主義的かつ物議を醸す』政治家という評価は、このあたりを指しているように思われます。

これで日本の政治は、なおいっそう騒がしくなりそうです。
政治のテーマに、「憲法」が顔をだすことになることでしょう。
「美しい国」を言った安部さんも、民主党の前原さんも、「維新」の橋下さんも、腹の中は「憲法改正」論者なので、それらの勢力が、選挙次第では、憲法改正に必要な3分の2を超えるかも知れません。

彼らはポピュリズムの名人たちでもあり、官僚政治の打破を言い、動かない政治を言い、「憲法改正」も触れる程度で、票を集めようとするでしょう。真の狙いは「憲法改正」です。

今の憲法は、「戦後の青空」みたいなものですが、戦争をしない国を言っているのは、その前の戦争の悲惨を踏まえてのことで、今も戦争・紛争の悲惨が続いている地球にあって、それ自体が、希少価値だと思っています。

「空気で動く」この国の危うさを考えると、選挙後、一気に「憲法改正」が浮上しそうです。
選挙中はバラバラでしょうが、選挙後、「愛国勢力」の結集が起こりそうです、

それでいいのかどうか、一人一人が問われる局面をむかえたと、辞職表明を聞きながら思いました。

わたしは、村上春樹が言う「壊れるたまごの側」に立ちたいと思っています。
そういえば、村上春樹がノーベル文学賞を逃したとき、石原知事は、このときとばかり、鬱憤を晴らすように、あれは「国籍不明の文学だ」という談話を語っていましたっけ。
# by sosakujo | 2012-10-26 03:50
びお「夏の学校」と、連載原稿と、本づくり
9月4~6日まで北九州で、びお「夏の学校」を開催します。
このところ、その準備で追われています。というのは、この学校でポスト3.11の住まいづくりの方向を打ち出そうと考えていて、新建ハウジング「プラスワン」に連載している原稿を、そのテキストにしたいと考えて、3回分の原稿を書き上げたからです。

テーマは、「スタンダードハウス考」としました。
とてもむずかしいテーマなので、ウンウンと唸りながら書きました。といっても、集中して書ける時間がないので、深夜に書くか、遠距離出張の列車の中ということになります。

この連載は、ついに50回を超えました。
1月号は別特集が組まれるので年11回、4年半になります。毎回5000文字前後の分量なので、案外、大変です。締め切り前には原稿を届けることを、自分に強いていますが、今回は3回分の原稿を書き上げているので、当面、書かなくて済みます。他の連載もあるので、のんびりはできませんが・・。

この連載をまとめた本を出すことになっていますが、その前に『びおハウスの学校』という、310ページの大著を編集しなければなりません。本の骨子は、何回か打ち合わせを行い、ほぼ固まりました。これから台割に掛かります。年内にまとめあげて、来年3月11日までに発行したいと目論んでいます。
# by sosakujo | 2012-09-01 15:55
再生エネに対する経団連会長の恫喝について
今朝(7/28)の朝日新聞東京版に、政府が示す2030年の原発割合の三つの選択肢に対する、経団連など経済界の批判記事が出ていました。

この三つの選択肢は、そもそもおかしなもので、15%を落としどころにするための茶番劇だという批判があって、各地で開かれている「意見を聞く会」は、電力会社に勤める人が登場したりして物議を醸し、信用のおけないパフォーマンスとしかいいようがありません。

経団連の批判は、この三案ともに批判的です。
その理由は、要するに、一番多く原発を残しす25%では足りない、新設を含め、もっと多くていい、という指摘です。

殊に、再生エネに対して懐疑的です。
現在90万戸の光発電設置住宅を2030年に1200万戸に増やす0%案を、米倉弘昌経団連会長は「過度に楽天的」だと批判します。そんなことやれっこない、と見ていて、経済成長を犠牲にし、企業の海外移転を加速させ、「日本からものづくりが消える」と恫喝します。

しかし、インドではスズキが、中国江蘇省では王子製紙が、現地の反発を買い暴動に発展しており、そうしたリスクを負っています。企業は、前後左右を考えて海外に進出しており、原発を再稼働すれば海外進出が止まるかのような言い分は片腹痛い話です。産業の空洞化の原因は、もっと構造的なものであり、たくさんの原発が動いていた時に起こったことでした。

経団連が、経済界の考え方を代表するものではなく、原発に頼らない電力のあり方を模索する企業も少なくありません。「脱原発」が、新しい経済成長を生み出す動力になることもあるわけで、米倉さんの考えは視野狭窄だと思います。この人は、東電の関係者かと思うほど、東電擁護の記者会見を繰り返しています。

再生エネの買い取りが開始され、電気代値上げになることから、早速というべきか、設置者とそうでない人との対立を煽り立てる報道が目立ちます。買い取りを進めたドイツでも大問題になっているとの注釈つきの報道ですが、ドイツは2050年までに一次エネルギーの50%を再生可能エネルギーで賄う計画を持つ国です。再生エネを増やし、2020年までに脱原発を打ち出しました。
しかし、日本はまだ取るに足りない取り組みしかやっていません。3.11を経て、ようやく目を向け出したという状態です。これを味噌も糞も一緒にして論じることは出来ません。

私は、再生エネ買い取り分を、そもそも電力代金に上乗せるやり方に賛成できません。
政府が、再生エネにどれだけ予算を組み、どう進めるのか、その大きなデザインがないことに、この問題の根があります。
決められる政治というけれど、決めているのは原発再稼働であって、グリーン・エネルギーへの懐疑という点で、この国の首相は米倉経団連会長と同根と見てよいでしょう。
 
知っておきたいことは、電気代には、すでに月100円の電源開発促進税が入っていることです。年4000億円、主に原発関連に使われてきました。原発に費やされた政府の財政支出は天文学的なもので、どれだけのお金が原発に使ってきたことか。
今回の原発事故のツケも、電力代金に上乗せされていますが、目の敵にしているのは再生エネで、日本の支配層は、自然エネルギーに、ちょっと予算を使うと、ブーブー文句をたれます。

もし、再生エネに、原発に匹敵する予算が使われたなら、この国のエネルギー構成は根本的に違ったものになるでしょう。視野と度量が狭く、12000年先まで危険な核のゴミをため込む原発依存を、この災厄を経て、なお推進しようという動きは、まことに困った人たちだと言わなければなりません。

恫喝に屈せず、淡々と、めげないで、執念深くエンド・ユース・アプローチを追いたいと思います。
# by sosakujo | 2012-07-28 06:26