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小池創作所代表・小池一三のブログです
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事務所移転のことなど
 11月1日に新事務所に移転します。
 新住所は、〒430−0901
 浜松市中区曳馬(”ひくま“と読みます)1丁目21−3−C1
 電話は、053−476−1300
 電送は、053−476−1313です。
 三階建てのアパートの一階です。前に小さな川があって、それに沿って桜並木があります。桜並木は、部屋からも見えます。事務所では、春のお花見が楽しみだね、といい合っています。
 小池創作所のホームページには、自宅を事務所にしている模様がいろいろ出ていますが、現在、追われている仕事が幾つもあって、そちらを優先しなければならないため、こちらのリニューアル——お化粧直しは、年明けになるかも知れません。

 年内と、年明け早々のわたしの講演活動等の日程をお知らせしておきます。
 11月11日(土)「緑の時代をつくる——奈良県シンポジウム」パネラーとして
 12月16日〜17日 「森里海連環学講座in柿木村」塾頭及びパネラーとして
 12月22日(金)「京都大学時計台集会」パネラーとして
 1月19日(金)東京大学大学院 空間環境形成論講座 講師として
 東大の講義以外は自由参加できますので、希望者は申し出ていただければ幸いです。

 さて、先日新潟長岡の高田建築事務所の30周年記念のシンポジウムがあって、その司会者に指名を受け、務めてきました。会場は400名もの入場者で溢れ、地域工務店が開くシンポジウム(講演会ならまだしも、シンポジウムというのも高田さんらしいのですが)としては異例のものでした。タイトルは「巣舞から趣舞へ、これからのふつう」。この語呂合わせをひねり出すのも、高田さんが得意とされるところです。
 パネラーには、テレビでお馴染みの見城美枝子さんのほかは、勤めを持ちながら週末自転車店を開いている人や、イチローのグッズを手に入れたことをきっかけに個人で野球館を開いた人など、よくぞ集めたという趣味人ばかりでした。この人たちの特長は、自分の趣味にとどめないで、地域につなげることで、おもしろさを倍化しているところです。
 小さい頃の記憶をたどり、今でも覚えているおじさんというと、やはりこういうエネルギーを持った人であったことに気づきます。あの頃はよかったという場合、そういうおじさん、おばさんの記憶と共にあるのであり、そういう人が今もいることに、わたしは救われる思いがしました。
 このことは、またくわしく書きます。何しろ、引越しの準備がありますので・・・。
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by sosakujo | 2006-10-31 21:29
下北沢はモザイク型の街
 季刊誌「住む」の秋号に、この春に亡くなったジェーン・ジェイコブスさんのことを書きました。東京下北沢の街を大きく変える大規模な道路建設計画のことを耳にしてのことでした。
 彼女が1961年に出版した『アメリカの大都市の死と生』の先見性と、現実に下北沢で進行している計画の貧困に警鐘を鳴らすといっては何ですが、一言いいたくて書きました。
 その計画が、いよいよ実施段階に入ったという報道が、今朝テレビでありました。
インタビューが賛成派と反対派の声を聞き、コメンテーターが「むずかしい問題です」という、いつものパターン報道で、深い検証ありませんでしたが、人々の関心を呼ぶことになるとは思います。
 下北沢には、畏敬する建築家・秋山東一さんの事務所があって、あのあたりは氏のシマでありました。そのシマが環状七号線と同じ広さ(幅25m)に道路拡幅されてしまったのでは、見るも無惨に成り果ててしまいます。
 昔、京都の鴨川に、パリの橋のそっくりさんを架けようという市長がいて、みんなに反撃されて引っ込めた例がありましたが、今回は、地元の声とかで世田谷区は押し通そうとしています。地元の声というのは「消防車も入れない道」というものです。 しかし、これを行政が根拠に挙げるのは、自己の怠慢を言っているようなものです。先斗(ぽんと)町も消防車が入れません。しかし、あれを広くしろとは誰もいいません。肩が触れ合う狭さがあっての先斗町です。消防車は入れませんが、その代わり消火栓が張り巡らされています。つまり、先斗町は常時消防車が待機しているようなものです。
 行政にとっては、この道路を通すことが何十年も前からの悲願かどうか知りませんが、それはあなた自身の「悲願ですか」と聞かれれば、返答に困ると思います。
ジェイコブスさんを、あちらこちらで紹介されているのは東大名誉教授の宇沢弘文さんですが、彼がジェイコブスさんの言葉として、しきりに口にし、書かれているのが「いい都市をつくる上での四つの原則」です。
 四つの原則の一つは、地区は二つ以上の機能を果たすのが望ましいということ。住宅だけとか、ビジネスビルだけとかでなく、街は入り混じっている方がいいます。つまり、モザイク型の都市が、ジェイコブスさんの理想でした。
 二つ目は、道は狭く、折れ曲がっていて、一つ一つのブロックが短いほうがいい、というものです。幅が広くて、まっすぐな道路はよくないというのです。
 三つ目は、建てられた年代が違う建物が混じり合っていること、古い建物を壊さないで残すのがいいというものです。言われてみると、いい街はそんなふうであることに気づきます。四つ目は、 人口密度が十分に高い状態の方がいいというものです。
 これらは、20世紀が理想としたあり方の逆張りを行っていて、一元的でない都市のあり方、多様性の許容と、それこそが都市の生であるとの明確な主張があって痛快です。わたしは原稿のなかで「凄い婆さんがいたものだと舌を巻く」と書きました。
 先日、新宿副都心に行きました。
 ここには人間は住めない、と思いました。
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by sosakujo | 2006-10-20 11:06
病気にならない為の病院
 とうとうなのか、やっとというべきか、今月わたしは還暦を迎えました。
 老人という実感はないけれど、「老人問題」は好むと好まざるにかかわらず向うからやってきます。
 日本の医療費は、現在32兆円ものお金でまかなわれているそうです。
 20年後には、それが56兆円〜69兆円に倍増するといわれていて、その頃には、自分も完全に老人になっているわけだから、さてどうなるものやら、という不安はあります。
 最近、病院に行って気づくことは、患者負担増がここ数年顕著だということです。
財布の中から、結構お金がでていきます。公的保険の範囲は、年々限定されるようになっていて、今後、十分な医療を受けられない層(特に老人層)が膨張するといわれています。そして、その人たちは「乞食患者」と卑称されるようになる、ともいわれています。神経に耐えられない雑言でありますが、多分、そういう現実がやってくるのだと思わなければいけないのでしょうね。
 わたしは今、知り合いの医者が新しい病院をつくるというので、「病気にならないための病院をつくってよ」と言っています。
 病院は、病気になった人が行くところで、風邪を引いたりした急性の疾病は町医者に、大きい病気に罹った人は総合病院に足を運びます。けれども、病気にならないためにはどうしたらいいか、そんな相談に行ける病院はどこにも見当たりません。
 なるほど「健康産業」は盛んです。
 健康食品を常用すると「健康になること疑いない」と、どこもかしこも言い立てています。彼らは、飲め、食せ、この健康器具を使えということばかりを前に出して、売らんがためを優先しています。「病気にならないためには、どうしたらいいか」と聞いたところで、まともな答えは期待できません。
 病院にはカルテがあります。しかしあれはドイツ語で書かれていて(最近は日本語で書かれるようになった、という話も聞きます)よく分りませんし、医者の一種の記録書に過ぎません。薬歴も何も、ほぼその病院の狭い範囲のものに限られていて、自分を知る情報にすらなっていません。
 第一、町医者にせよ大病院にしろ、聞かれることは「どこが痛い?」「どこが変か?」ということに限られていて、もし「病気にならないためには、どうしたらいいか」と問いかけても、医師たちは戸惑うだけで返答に困るでしょう。なかには「この忙しいときに!」とか言って、こめかみに青筋を立てて怒声をあげる医師がいたりすることでしょう。
 国は「予防医学」をいいます。
 医療費の増加を考えると「予防医学」が求められているのはいうまでもありません。しかし、そんな現実はいまの日本にはないことを知った上で、それをほんとうに社会化するにはどうしたらいいか、まともに考えてほしいと思っています。

 医食同源(いしょくどうげん)という言葉があります。
 病気をなおすのも食事をするのも、生命を養い健康を保つためで、その本質は同じだという意味です。薬食帰一も同様の言葉です。
 この食療法は「予防医学」の先駆けで、戦国期の成立とされる《山海経(せんがいきよう)》に記載されています。酸、苦、甘、辛、鹹の五味の調和ある摂取によって、健康が保たれるとされます。
 予防医学的な発想は、別に東洋に限られたことでなく、ドイツなどでも盛んにやられてきたことで、こちらは「食」ではなく、「住」を早くから問題にしてきました。
予防医学のパイオニアとして知られるマックス・フォン・ベッテンコファーは、1800年代の中頃に室内空気質を問題にし、家を建てる際に、不純物質を含まない建材をちゃんと用いることを提案しました。
 人が一日に摂取する空気量は、15〜20kgに達するといいます。ドイツ人らしく、部屋にいて吸う空気そのものを彼は問題視しました。ドイツの「バウビオロギー住宅」は、そういう背景があって生まれたものです。
 予防医学を、「医」にだけ期待しないで、「食」でも「住」でもやることです。
 ブログで書いた静華さんは、医食同源を根本に置いているし、あさの葉さんは来店者とゆっくりと会話を交わしながら、その人に合ったやり方を大切にしています。
 町の工務店は、病気にならないための「家」を造ることです。
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by sosakujo | 2006-10-16 07:24
あさのは屋さんのこと
 「あさのは屋」は、自然食品店ですが、食品だけを扱っているわけではありません。化粧品や衣類(主にコットン)石鹸、洗剤、シャンプーなどの生活雑貨、書籍なども扱っている店です。けれども、やはり食品が主であって、その品揃えの豊富さ、棚の一つの品ごとに書かれたコメントにはまことがこもっていて、店を訪ねるたびに感銘を覚えます。
 今日は、佐賀県の岩永富造さんが作られた蓮根が並んでいました。
 EM農法で作られた蓮根で、むろん無農薬です。台風の被害で蓮根の出荷が危ぶまれたけれど、それが今日届いたんですよ、と店主の昭子さんは声を弾ませます。彼女の商品説明によれば、この蓮根は普通の蓮根より、もっと深い所で作られる沼蓮根で薬効も高いそうです。値段はその割に安く、それが嬉しいと昭子さんはいいます。
 彼女のことは、高校生のときから知っています。嬉しいときに、くりくりした目で、毬が弾むように声を立てるのは何も変っていません。精神の透明感が声にでている人です。理想主義が彼女の根にあるようです。「団塊の世代」が持ち得た、よき資質だと思います。あの頃は、それなりに夢を追えましたから・・・。
 この仕事は、全国に散らばっている生産者や、製造工場を訪ねてみたいな、と思うような人とつながりを持てるのがいい、と彼女はいいます。ほんとうは産地を、作る人を訪ねたいのだけれど、店を切り盛りすることに追われ、叶わないようです。けれども、想像力はいつもそこに及んでいて、彼女には現場が見えているのです。そうでなければ、あんなに嬉しそうに語れませんもの。
 地元で野菜を作っている人たちは、長い付き合いなので信頼しているといいます。
人間関係の中で得られた信頼だけが頼りであって、それは前回のファーマーズマーケットにも通じていて、無言の信頼感に「地域」が持つ確かさがあるのだと思います。
彼女は、遠方からの野菜は問屋さんを信頼して仕入れるといいます。もちろん内容をきびしく精査するそうですが。
 極力、無農薬。いたし方の無い時は減農薬で、分かる限りは殺虫何回とか、殺菌何回とかを書いてもらうといいます。食糧自給率が低くなっている今、少しだけ農薬を使えば収穫に繋がるという場合、全滅させるより収穫する事も必要だと考えてのことです。その場合、作っている人の姿勢を問題にするといいます。
 姿勢の誠実さは、ものづくりの基礎です。
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by sosakujo | 2006-10-05 09:26