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小池創作所代表・小池一三のブログです
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bio森の家スクール
23日、24日に掛けてbioスタンダードの(設計/村松篤)の合宿スクールが浜松で開かれました。建物見学は5ケ所、一番目は天竜区、テレビでしばしばその日一番暑い場所として紹介される地域です。本田宗一郎が通った小学校が近くにあります。ムクリ屋根の外観を見るのもそこそこに、あまりに暑いので早めに室内に入りました。
今回のスクールには、北海道と九州からの参加者があり、新潟からの参加者もあって、かなり散らばっています。わたしと設計者が、事後、それぞれの土地を訪問することになっており、行くところはみんな遠いね、と村松さんにお話ししています。でも秋ごろには涼しくなっているし、と思っていたら、京都には8月中にとのお話。夏の京都は暑いよなー、と思ったりしました。
次に行ったのが笠井の家、その次は、どういうわけか、築後15年を経たわが家、この家は2階リビングの家だけれど、冷房がありません。ムッとするほどに暑い家です。
そのあと、入政さんのエコショップに寄って、冷たいものをいただいて、あと二軒は、建築中の家でした。
炎天下のなか、参加者のみなさま、お疲れ様でした。

現在の4人の建築家のうち、最もスタンダードハウスになり難いといわれているのが村松さんです。
設計の細部が精緻で、納まりが複雑だからです。 
通常、彼は一軒の家に最低60枚程度の実施図面と、150枚程度の施工図を起こします。施工図はすべて原寸図です。
施工図は積算が終了し、建築請負契約締結後に出されるので、初めて村松の仕事を請負う工務店は、事前に話は聞いていても、しばしば積算見通しを超えることになって、利益が圧縮されます。工務店が最も厭うところです。
村松と永らくコンビを組んでいる工務店は、要領を理解して積算しているので火傷を負うことは少ないのですが、よく分からないで仕事を請けた工務店は、もう二度とやりたくない、こりごりだといいます。
しかし工務店は、少しばかり予算のある顧客がやってくると、うちはこんな仕事もしているということで、つい村松さんの仕事を見せたりします。すると、その顧客はこの設計者でやりたいなどと言い出し、工務店を困らせることになります。住まい手が村松さんの設計を好むのです。

そんなこともあって、少しでも村松を知る工務店は、果たして村松にスタンダードハウスがやれるのか、頭を傾げ、いぶかるところがありました。
というわけで、今回の合宿スクール参加者は、村松さんとコンビを組んできた工務店と、初めてという工務店の二つに分かれました。当然ながら、一棟だけやって懲りている工務店の参加者はありませんでした。

前者の参加者は、ここまで村松さんが降りてきたか、と感じたようです。レベルを落してということではなく、レベルを保持しながら簡潔、明快に設計をまとめていると受け止めたようです。

後者の参加者は、顧客に勧められるスタンダードハウスが出来たと素直に喜んでいました。このことだけで、ぼくは胸を撫で下ろしました。

村松さんの、このスクールに対する準備は万全で、実に誠実な内容でした。図面集など、資料内容も高いものがありました。模型も何種類か用意してくれました。村松さんのスタンダードハウスがどういうものか、みんなよく分かったと思います。

この夜は、深夜まで交流が続いたようでしたが、ぼくの方はwebの公開で、ここしばらく徹夜に近い状態がずっと続いていましたので、参加を見合わせました。残念でした。

住まいネット新聞びおに、「スタンダードハウスの運動」の全体が出ています。
くわしい内容を知りたい人は、そちらをご覧下さい。
by sosakujo | 2008-07-25 18:06
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