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今ぼくは、教会建立の仕事をお手伝いしています。昨夜もその打ち合わせをしてきました。
予定されている敷地は、三方向を山に囲まれ、一方向に農村風景が広がっていて、なだらかな山並が遠望できます。2万坪の土地です。そこに美しい教会をつくりたい人たちがいて、それを手伝っています。 ぼくはクリスチャンではありませんが、世界のあちらこちらの「聖なる場」を訪ねてきました。聖地ルルドを訪ね、ピレネー山脈の麓の村々の教会を訪ね、スペイン北部のレオンの教会も訪ねました。黄昏に照らされたステンドグラスは荘厳というほかなく、ずっとこころに残っています。丘の上に建つル・コルビュジェのロンシャン教会堂は、失意にあった自分を救ってくれたし、北欧の小さな教会が持つ清浄な空間に、どれだけ癒されたことか。今、最も行きたいところはピーター・ズントーが設計した、スイス・スンヴィッツにある聖ベネディクト教会です。 日本にもみんなが寄りたくなる、そんな「聖なる場」があるといいな、と思っています。 ルイ・アラゴンという詩人が、こんな詩を遺しています。 ひとりは教会よりあるいてきた ひとりはそこを避けてきた 神を信じたものも 信じなかったものも その血は流れ 流れ交わる (『フランスの起床ラッパ』 薔薇と木犀草より) この詩は、ナチスの支配下にあったフランスの抵抗者を詠んだ詩です。 ぼくはこの一節を、「ストラスブール大学の歌」だと思い込んでいました。「教えるとは希望を語ること 学ぶとは誠実を胸にきざむこと」という、あの有名な詩です。打ち合わせのあと、家に戻ってアラゴンの詩集を紐解いたら、同じ詩集の「薔薇と木犀草」に出てくる一節であることが分かりました。 これからつくる教会は、300人を収容できることが命題の一つになっています。この規模の教会を、予定されている予算でやるのはとてもきついことです。余分なことをしないが故に美しい教会を、という第二の命題があって、その視点があれば、ひよっとしてやれるかもという気持ちでいます。第三の命題は、いっぺんに全部やらなくていい、時間を掛けてやればいい、あのガウディのサグラダ・ファミリアのように、というものです。 この三つの命題を達成するには英知を結集しなければなりません。 教会の方々にお願いしたいことは、セクトに篭らず、「神を信じたものも 信じなかったものも」この事業に参加できる寛容を持っていただければ、ということです。そうすれば、すばらしいものが出来るという予感を持っています。 À Strasbourg nous irons ensemble われらはともに行こう ストラスブールへ Cathédrale couleur du jour 陽の色に輝く教会へ(「ストラスブール大学の歌」より)
by sosakujo
| 2008-02-27 09:00
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