以前の記事
2013年 05月2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 最新のトラックバック
リンク
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
『住み家殺人事件』(松山巌著・みすず書房刊)という本が発行されたのは、04年の夏でした。
この本に書かれていることは、あまりに嘆かわしい、今の住宅の現実です。 「建築を新たにつくることは、近代に入ってテロリズムの色彩を強めている。なぜなら、それ以前の時代とくらべれば驚くほど短時間に周辺環境を変え、人間関係を変えてしまうからだ」 「安易で底の浅い、つくってみたところで真実味などない、こわしたところで悲しむこともない」 建物が濫造されていて、 「建物をつくっては壊し、壊してはつくる時代とは、じつは文化と生活と人間関係の連続殺人の時代ではないだろうか」 と、松山さんは断じます。とにかく松山さんは烈しい。秋霜烈日のごとく。 住み家について、こういう評論があり得ることを、わたしはこの本を通じて知りました。建築することは破壊を伴うことであり、そのことを自省しない輩の何と多いことか。農業にも、林業にも同じことがいえますが、少なくとも自省があれば、すでにあるものとの緊張が生じます。この緊張のなかでものはつくられるべきであり、それを欠いているのは、ほとんど殺人を犯しているに等しい、と松山さんはいうのです。 タチが悪いのは、エコを言い、「地域主義」などという言葉を掲げながら、その実、「安易で底の浅い、つくってみたところで真実味などない、こわしたところで悲しむこともない」建物を生んでいることです。そういう建物を、わたしは「住宅のグローバル化」と括っています。 この言葉が、ふいと頭に浮かんだのは、昨秋、哲学者の内山節さんが書かれた、『「里」という思想』(新潮選書/1,155円)という本を読んだときでした。 「世界を席巻したグローバリズムは『ローカルであること』を次々と解体していった。たどりついた世界の中で、人は実体のある幸福を感じにくくなってきた。競争、発展、開発、科学や技術の進歩、合理的な認識と判断——私たちは今『近代』的なものに取り囲まれて暮らしている。本当に必要なものは手ごたえのある幸福感。そのために、人は『ローカルであること』を見直す必要があるのだ」 建築は、どうであれ地域の風景をかたちづくるのであり、建築した以上、その責任は免れません。ローカルを解体する住宅に対し、地域工務店はどうあるべきか。まず、経営に対する考え方を点検すべきだと思います。 わたしは、地域工務店はお金にガツガツしてはいけないと思っています。経営は継続であり、利益を生むことは必要不可欠なことです。赤字でいいわけがありません。しかし、目先のお金だけ追っていると、知らぬ間に地域工務店にとって大切なものを見失ってしまいます。 最終的に地域に残すべきは、一軒一軒の家であり、仕事です。地域工務店の経営者が、子や孫に残すべき最大の財産は、建てた建物そのものです。お金は後継者がバカだと消えてなくなりますが、仕事は残ります。 鎌倉武士は「名こそ惜しめ」と言い合って挙兵しました。地域工務店は「建築こそ惜しめ」と言い合って、これからの家を造るべきです。 それが地域工務店の経営の要諦ではないか、とわたしは思うのです。
by sosakujo
| 2006-11-21 10:57
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||