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小池創作所代表・小池一三のブログです
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電力抑制下、自然室温で暮らせる家 2.
新しいパンフれっとを作成中です。もう3ヶ月も掛けています。わたしは、スピードで知られていますので、一冊のパンフに3ヶ月も掛けるのは異例のことです。自分でも驚いています。それは3.11の事態を前に、しっかり考えて作らなければならない、という思いが働いてのことです。

今朝、エネルギー自給住宅の部分を書き直しました。これを持って、パンフの原稿は、ようやく終了しました。あとはイラストの仕上がりを待って印刷というところまでたどり着きました。最終的に全40pになりました。

このパンフ、前半に「建築でどこまでやれるか」を掲げ、「自然室温で過ごせないか」という設問を出しました。この部分で悪戦苦闘しました。OEMの荏原さんは何回もシミュレーションを繰り返し、不眠不休の日々が続きました。「自然室温で暮らせる家」は簡単でないのです。

早い話、「無暖房住宅」はあっても、世界を見回しても「無冷房住宅」はありません。事実上、無冷房で暮らしている人は、「無暖房」で暮らしている人より、はるかに多いことは確かです。南方の家は、ほとんどが無冷房住宅です。けれど、「無冷房住宅」を標榜する現代住宅は聞いたことがありません。

北方で始まった高断熱・高気密住宅ですが、夏の自然室温ということでは不利にしか働きません。人体や電気などの内部発熱で、室温が上がるからです。高断熱・高気密住宅は、一度入った熱を逃がさないようになっており、人の体温も、照明や煮炊の熱も、みんな取り込んでしまいます。夏には、カーテンで覆っていても、ちょっとした隙間から入った日射を取り込みます。

つまり、冬に有効に働いた内部発熱は、夏はデメリットに作用するのです。むろん冷房した場合、高断熱・高気密住宅の家が利きがいいのはいうまでもありません。しかし、自然室温で暮らそうとするとそれが最大のネックとなります。
厳密に見ると、断熱性能は建物の内外の熱移動の速度を緩やかにするだけで、建物を暖めたり、冷やしたりするのではないからです。        

夏に室温を下げる代表的な手段は、日除けと通風と換気です。
東京の夏の夜は、日本で最も不快です。しかし、東京の最低気温の平年値は24.2℃です。夜間は、東京でも快適温度の範囲内にあるのです。この時間帯は、したがって内部熱を、通風で除去(排熱)するのが有効です。

今の省エネの数値計算は、主としてQ値(熱損失係数)で計算します。Q値は、窓を閉め切った状態で計算します。この計算法では、通風も緑のカーテンも計算外です。
エコポイントで、省エネ空調機器が対象になっています。通風で涼を得るのが、本来一番の省エネである筈なのに対象外にされています。
熱負荷を低減する機器が省エネなのは、つまりQ値計算が根拠になっているからです。自転車より、プリウスの方がエコ的に評価されるのと同じです。

そんなわけで、Q値を頼りにしたのではラチがあかないことがハッキリしました。
そこで、「閉じた自然室温」ではなく、「開いた自然室温」という、新しい概念を提案することにしました。
Q値計算や熱の物性値だけでなく、自然力を生かして、よき室内気候を実現することを、「自然室温で暮らせる家」と呼ぶことにしました。閉じ切った自然ではなく、自然に開くことによって得られる「自然室温」です。   

風速1mの風に当たると気温が一度下がる」と言いますが、下がったのは体感温度であって、気温ではありません。ウチワや風鈴で涼しさを感じるのも体感温度です。
このあたりを、建築的な仕掛けによってどこまでやれるか、そのことに懸命になって挑んだのでした。(続く)
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by sosakujo | 2011-07-29 09:36
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