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「海老蔵事件」は、新年を前にグレーのまま、ひとまず決着がつけられました。
この機会に、第十一代目市川海老蔵という役者について述べます。 この役者のことは、『外郎売』で市川新之助を襲名し、『助六由縁江戸桜』の助六で海老蔵を襲名したという知識はあるものの、わたしが歌舞伎座に足を運んだときは、いつも端役でつよい印象を持っていませんでした。 NHKの大河ドラマ『武蔵』は、最初見ていましたが、お通役の米倉涼子もミスキャストだということと、海老蔵の武蔵の目をひん剥く芸に嫌気がさし、4~5回で見なくなりました。一声、二顔、三姿という、元祖「海老さま」の祖父・十一代目市川團十郎譲りの資質を揃えた役者といわれているけれど、ちょっと大変だな、という印象でした。 この夏、NHKで海老蔵をドキュメンタリーで追う番組があり、それは見ました。しかし、目をひん剥く芸は相変わらずで、それを誉めそやすかのようなNHKのお追従に疑問を感じました。荒事は、決して目をひん剥く芸にあるのではありません。 ぼくは、荒事の世界を、少し遠い話ですが、運慶、快慶の金剛力士像にみます。 運慶、快慶は、堂衆と呼ばれる身分の低い造仏師でした。堂衆は、寺内の運営実務にあたった僧侶身分をさしますが、運慶が所属した興福寺は、国内の武士を自寺の衆徒として組み入れるに際し、この身分を置きました。運慶の仏像は、平安後期に都でもてはやされた、円満で穏やかな表情に対し、男性的な表情、変化に富んだ衣文、量感に富む力強い体躯という特徴を持っています。 その姿は、東大寺南大門の金剛力士(仁王)像に見ることができます。この仁王の造営には、快慶も参加しています。 独創性にあふれた運慶と、その陰で高い精神 性を発揮した快慶と評されますが、あの仁王さまには、目をひん剥くだけでない、深い悲しみがあります。それは多分、運慶の置かれた身分が影響していたと思われます。 銀閣寺の庭をつくった善阿弥も、能の世阿弥もそうですが、当時の彼らが置かれた立場とその憤懣の日常が、仏像に、庭に、舞台に、吹き出たのだと思います。それは噴出というのと違う抑制的なもので、それが南大門の金剛力士像の悲しみを生んでいるのだと思います。世阿弥の『土蜘蛛』にも、それを感じます。彼らは時代を深く生きた人たちでした。 運慶は、あの仁王さまの作者であると同時に、興福寺にある「無著菩薩立像」や「世親菩薩立像」の作者でもあることを知っておきたいと思います。 あえていえば、運慶は世話物と荒事の両方をやってのけたのでした。 海老蔵は、世話物をやらせると大根役者だという評があります。 テレビの「いいわけインタビュー」を見ながら、 しきりに悲劇を演じているのに、何も悲しみが伝わってこないのを見て、大根役者といわれる理由が分りました。内面の空虚さが外に出ていました。 この先、海老蔵は、荒事を封印して世話物に専念してはどうかと思います。しかるのちに、荒事に戻ってきたら、ただ目をひん剥くだけではない演技が出来るようになるのでは、と思います。本当は、下積みの、これはという役者がやる方がいいと思いますが・・・。 門外漢のお節介ですが、そんなことを感じています。
by sosakujo
| 2010-12-30 09:50
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