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小池創作所代表・小池一三のブログです
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熱海「惜櫟荘」のこと
  この日曜日の夜に、BS朝日の番組で、吉田五十八さんが設計した熱海の「惜櫟(せきれき)荘」について特集番組が放映されました。この建物は、岩波書店の社長だった岩波茂雄が施主の建物で、現代数寄屋建築の傑作といわれる建物です。

「惜櫟荘」は、昭和15年に建てられましたが、建物が朽ち、この建物を買い取った作家の佐伯康英さんが私財を投じて修復されました。この建物が建築された時の岩波茂雄と吉田五十八のやり取りのあれこれ、修復の際のやり取り、そのプロセスが2時間にわたって取り上げられ、久々に見ごたえのある番組でした。
 
この建物のことは、岩波の娘婿だった小林勇が『惜櫟荘主人』というタイトルで書いています。わたしはこの本を、もう30年も前に読んでいて、書庫を見たら、ちゃんとありました。当時、岩波の本を読むことが多く、それを出版した岩波茂雄はどんな人だろうと興味を持ち読んだのでした。

 この本は、岩波茂雄の伝記です。惜櫟荘の建築のいきさつは数ページに過ぎません。しかし、この本の中で最も印象的なもので、岩波その人を見事に語っていると思いました。

 敷地は熱海の海辺です。面積は大きなものでしたが、斜面ばかりで建てられる建物の大きさは30坪に限られました。その土地のいい場所に一本の櫟(クヌギ)が立っていました。建築側が、これを邪魔だと考えて伐ろうとしたら、「これを伐るなら、おれの腕を伐れ」と言ったというエピソードが出てきます。古武士然としたこの木を岩波は気に入っていて、櫟を辞書で調べたら「やくざな木」という記述があって、それを岩波はうれがったとしています。
 
 岩波がこの家を建てようとした時期は、津田左右吉事件のすぐ後でした。自分は多分2年程度投獄されるだろうから、身体をよくしておかねばならないと考え、また、それまでに手にしたお金をこの建物に注ぎました。少しは贅沢をしても許されるのではないかと・・・。

 津田事件は、「皇室の尊厳を冒涜した」として、戦前の大帝国憲法のもと、出版法(第26条)違反で、津田左右吉東大教授が起訴された事件です。1942年に判決があり、津田は禁錮3ヶ月、岩波は2ヶ月、ともに執行猶予2年の判決を受けました。岩波は、明治天皇のことは尊敬していて、明治維新の五カ条のご誓文のうち「万機公論に決すべし」を至高の考えとしていましたが、その真逆の「治安維持法」には苦々しい見方を持っていたようです。
 岩波と幸田露伴の交友は有名で、露伴は「惜櫟荘」に何度も泊まりました。露伴には、職人を描いた『五重塔』があり、むろん岩波文庫に所収されています。
 
 「惜櫟荘」の設計を最初に依頼されたのは堀口捨巳でした。工事は清水組に依頼されました。しかし、当時、気鋭の吉田五十八の建物を見て、いたく気に入り、堀口と清水組に断った上で、吉田に設計を依頼しました。工事は水澤工務店で、京都の大工が起用されました。
 
 設計の進行中に、岩波 は、巻尺を手に、あちらこちらの建物を調べて回りました。
 湯本の福佳に行ったときには、旅館主に頼み込んで、いくつかある家族風呂に入って回り、小林勇は紙と鉛筆を与えられ、自分は巻尺を持って、あざらしがとびこんだと、この本に描かれています。岩波の風貌を写真で見ていたわたしは、思わず笑ったものです。岩波は、その水のあふれ加減を観察し、足を伸ばして、頭をうしろにもたせて工合を考え、立って深さをみて、方々の寸法を測って小林に記入させました。うんざりするほど熱心だったと、小林は書いています。
 吉田とのやり取りも凄まじく、両方、譲らないので大変だった、とも小林は書いています。
 
 岩波は、終生、この建物を愛し、多くの人を呼んでは滞在を奨めました。没後、岩波映画で上映されたこともあって、ポーランドの映画監督アンジェイ・エイダがこの建物を訪ねました。番組は、その感想を番組で紹介し、この建物は世界に例のない、自然と融合した見事な建物だと評価しました。。

 この建物の修復も大変な難作業でした。
 元の材料を90%そのまま用いての再生でした。壁を削り、瓦を一枚一枚取り外し、木材を解き、それを保管して、もう一度、いのちを蘇らせました。つごう2年を掛けての再生でした。見事な仕事であったことが番組から伝わりました。

 「惜櫟荘」の再生を果たした作家の佐伯康英さんは、自分はこの建物の「番人であることを自任します。
 佐伯は、この建物で、原稿ゲラを推敲している時間が至悦だといいます。ちょうど外に雨が降っていて、その雨だれの音を聴いていることの幸せを語りました。自動車を買ったりするより、とても気持ちがいいとも。爽やかな人だと思いました。

 話はとびますが、吉田五十八の仕事を見ながら、永田昌民さんと益子義弘さんのお仕事を思いました。
 お二人の仕事は、吉村順三の影響をつよく受けていますが、その建物の表情、大壁の使い方については、彼らが学んだもう一人の先生、吉田五十八の影響がつよく見られるということでした。このことは、奥村昭雄が自分の仕事を語るに際し、わたしにこっそりと耳打ちした話でもあって、藝大建築科の当時の雰囲気を感じたものでした。 
 また、五十八の大壁の展開は、一方において、ハウスメーカーによるビニールクロスの多用化に道を開くものであったことを、改めて思いました。これは負の面であって、功罪は、いつの場合もついて回るのでしょうか。
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# by sosakujo | 2013-05-27 23:46
中国の大気汚染
中国の大気汚染が深刻さを増しています。
1月の北京は「濃霧」が掛かった日が25日ということで、PM2.5(直径2.5マイクログラム以上。人の髪の毛の40分の1以下の粒子状物質)の測定値を超えた日が15日、29日には計測外の数字がでました。

わたしは中国に事務所を持ち、仕事をしたことがあります。北京オリンピックの4年前あたりで、政府高官と精華大学の先生方とシンポジウムを開いたとき、わたしは北京オリンピックの前に、中国は空気汚染で、不名誉な金メダルをとる可能性大であると申し上げました。精華大学の教授は身を乗り出しましたが、政府高官には苦虫をつぶしたような顔をしていました。

わたしの話は、リスクをいかに回避するかという観点からのものでした。中国の友人という気持ちで率直に申し上げましたが、当時は(今も多くは)「発展こそ美しい」という観念に捉われていて、この話は無視されました。

あのとき、移動の車はドイツ車でしたが、ドイツの環境規制をクリアしたものではなく、当時の中国の規制の範囲のもので、これはどういうことだ、と思ったものです。あの巨大な国の為政者のレベルの低さを感じました。これはいずれ大きな問題に発展すると思われましたが、それがいよいよ顕在化されました。

中国の大気汚染は、日本にも飛来してきます。大気には国境がありませんので・・・。
日本の環境基本法の基準量は1日平均で1㎥あたり35マイクログラムですが、朝日新聞の報道では30日に山口県宇部市で48マイクログラム、31日に長崎県内4ヶ所で41マイクログラムを記録したといいます。

日本に飛来するのは、中国国内の10分の1程度とされますので、公表されていない中国の実情がいかに深刻なものであるかが、このことから明らかです。

中国は日本を上回る原発を沿岸部で進めています。もし事故が起これば、放射能汚染は日本に飛来し、日本海の魚は食べられなくなる可能性を否定できません。

越境汚染の問題は簡単なことではありませんが、政治はその視野を持つべきです。しかし、原発問題への対応を見ても、今の政治に期待はできません。
10年後といわず、5年後、この越境汚染は日本を揺るがす大問題になっているのではないか、そんな悪い予感が頭を過ぎります。
そして、だからこそ国内で脱原発を進めることが重要です。そうでなければ何もいえませんので・・・。
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# by sosakujo | 2013-02-01 10:26
「東京家族」を観ました
昨日は東京にいて、午前中ぽっかり時間が空いたので、山田洋次監督の『東京家族』を観ました。同監督の映画は初期のものから、ほとんど観ていますが、その集大成となる作品といってよいと思います。
小津安二郎の「東京物語」(1953)にオマージュを捧げた作品ですが、劇場でDVDで何回もオリジナルを観てきましたので、感慨深いものがあり、同時に、しかしこれは山田洋次の世界だとも思いました。

小津の『東京物語』は、ヨーロッパで高い評価が与えられていますが、それは東洋的な諦観思想が、黄昏のヨーロッパの心象風景に合っているからだと思います。彼らは、笠智衆が演じる周吉に高潔な人格を見て、深い感銘を覚えました。

その見方からすると、今回の作品は『東京物語』のリメイクになり得ていない、と評価されるかも知れません。
『東京物語』の救いは、亡くなった次男の嫁の紀子(原節子)のやさしさでした。
今回は、次男の昌次(妻夫木聡) を登場させ、間宮紀子(蒼井優) はその恋人として登場し、東北の震災のボランティアで知り合ったという設定になっていて、この二人に監督の期待が仮託されています。
そこが山田洋次らしいのですが、ヨーロッパの映画人の評価は、これを甘いと見るのではないか、と思いました。賞を取るために映画を作っているわけではありませんが、彼らはそう見るのではないか、ということが気になりました。

しかし、クランクイン寸前に3.11があり、延期して脚本を練り直し、キャストも変えてまで撮影に入った山田監督の今回の作品を、この間の日本人の経験と希望として、よくぞ描いてくださった、と思いました。それが映画館を出たときのわたしの感想です。

この映画に流れる感情は、今の日本人にはよく分ることだと思いました。
周吉の、日本は「どこかで間違ってしまったんだ」という感慨は、わたしのものでもあります。

職業柄、住宅の扱い方に、松竹映画らしさを感じ、なるほどと思うことがありました。郊外で開業医を営む長男の家も、長女の美容院も、床面積の広さということでなく、酸素量が不足していることを感じ、次男の昌次のアパートは、部屋は狭いのに酸素が多いと思いました。これは山田監督らしい洞察だと思いました。

周吉の橋爪功は、笠智衆の描き方とは違うけれど、背を丸めて爪を切る最後のシーンを見て、違う深さがあると思いました。秀逸だったのは、とみこを演じた吉行和子でした。これは彼女の仕事の中で一番のものだと思いました。少女の頃に彼女が演じた『アンネの日記』を観ているので、いい年の取り方をされているのだな、と思いました。

必見の映画です。
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# by sosakujo | 2013-01-24 09:48
web通販〈手の物語」テストオープンしました
〈半製品」・共感・熟成をテーマにするweb通販「手の物語」を
テスト・オープンしました。

http://tenomonogatari.jp/

今が買い時、今すぐ申し込もうの通販ではなく、
取り扱うモノは、工務店・設計者・住まい手の「手の働き」をアテ
にした「半製品」です。
取り入れるかどうかの判断・説得・設計を経て購入ということに
なりますので、実際にモノが動くまでに時間が掛かります。
選択いただくには「共感」が得られなければならず、「半製品」
が建築になるには「熟成」の時間を必要とします。

そんなの果たしてwebに合っているかどうか、いろいろ考え、
議論を経て、やってみよう、ということになりました。
「半製品」なので、マニュアルを必要とします。テストオープンで
は、一部ダウンロードできますが、エネルギー分野の二つの
「半製品」については、ガイダンスら参加していただくことから
始まります。そのご案内も出ています。

作りが地味ですが、中身は濃いウエブサイトです。
まずはご高覧ください。
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# by sosakujo | 2013-01-13 13:24
二冊の本のこと
2冊の本が送られてきました。
一冊は、埼玉・榊住建をずっと引っ張ってこられた小山祐司さんが書かれた『住まいのかたち』(発行/埼玉のいえ・まち再生会議)という本です。
今朝届いて、お昼をはさんで首っ引きで読みました。日本の住まいのことが丸ごと書かれていて、大変な労作です。一口で言うと、いろいろなことが一冊で分る便利な本だと思いました。

序章は、住まいのかたちについて、20の提言をまとめられており示唆的です。
本文はⅠ話・昔の住居
Ⅱ話・今の住宅
Ⅲ話・未来の住まい が綴られています。写真が多く、文章も平明で読みやすく、殊に工務店と一般ユーザーに薦めたい本です。工業高校の建築科の生徒には、教科書としても格好のものです。

小山さんは、OM時代を共にした人で、工務店のオヤジ風なのですが、早稲田吉阪研出身で、建築の理屈を持ち、かつ美学を持つ、なかなかの人です。
わたしはお酒がダメですが、それでも小山さんのお酒の席は、いつも愉しかったと記憶しています。とんとご無沙汰していますが・・・。

さて、もう一冊の本は、『建物と日本人--移ろいゆく物語』(共同通信取材班著 東京書籍刊)の本です。
この本は、共同通信配信で出された記事をまとめたもので、共同通信編集委員の清水正夫さんにご紹介した、沖縄宮古島の渡部さんの家も納められています。

渡部さんは、化学物質過敏症に罹った幼い姉妹二人を抱え、空気のきれいな宮古島に移住され、家を建てられました。その家は、緑の列島ネットワークの理事長を務めておられる大江忍さんとその職人仲間の手によって建てられました。

わたしは2回にわたり宮古島を訪ね、建築に立会い、また、姉妹と親しく接し、通われていた学校にも取材に出掛けました。校庭に机が置かれ、屋外での授業に目を瞠りました。

この本は、東京スカイツリーに始まり、名作といわれる建物、由緒ある建物が49題収録されています。
わたしの好きな越前の丸岡城や、藤井厚二の傑作「聴竹居」も納められていて、この建物をそれらに並んで紹介された清水編集委員の慧眼に、ちゃんとしたジャーナリストはいるものだ、と思いました。
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# by sosakujo | 2012-12-20 17:24
民主党政権とは何だったのか?
選挙の結果は、民主党の惨敗でした。
わたしは、この政権が発足したとき、正直なところ、よほどの失敗がない限り、8年程度は続くものと見ておりました。結果的には、よほどの失敗続きだったわけで、見込み違いだった、と不明を恥じています。

言わずもがなを言ってしまう、わたしの性癖を心配して、友人たちから、政治のことはあまり書かない方がいいと言われていますが、心に済まされないものを感じましたので、一言、述べることにします。

今回の選挙は、投票率が6割を切り、勝利した自民党の得票率は、同党が惨敗した前回選挙を下回っています。前回、あれだけの投票率と、今回、民主党が得た得票率との差が、この選挙の結果です。民主党は、何と2000万票を失いました。自民党が勝ったわけではなく、民主党が、いかに期待を裏切り、幻滅を与えたかを示す証左です。

何が、この結果を招いたのか、姦しく議論されています。
鳩山さんが沖縄でつまずき、菅さんが財務省に取り込まれて参議院選挙で消費税を言い出し敗退したこと、野田首相がやはり財務省の意向通りに消費増税に踏み切ったことなど、その稚拙ぶりは目を覆いたくなります。
与謝野馨さんが、また森本さんが大臣になったとき、一体、民主党に人はいないのかと訝しく重いましたが、お粗末というべきか、要するに自前の考え方と、人事方針を持てない政権でした。

同党の成り立ち、組織構成、人材などから見て、なるべくしてこうなった、と言えますが、長く続いた自民党政権の崩壊を見て、新しい時代が来たとついぞ期待したものです。

同党のお粗末をあげつらうとキリがありませんが、わたしは「ニューディールを実現できなかった」ことを理由の一つに挙げたいと思います。あまり指摘されていないことですが、わたしの中では、この期待外れが一番大きかったと見ています。

わたしは鳩山首相のときに、官邸で開かれた「成長戦略」のイベントに招待されましたが、結果的に見れば、この政権は「成長戦略」を言いながら、その多くは絵に描いた餅で終わり、ニューディールと呼べるものになりませんでした。

「緑の雇用」がいわれました。
ドイツでは、自動車産業を上回る雇用が林業で生まれている、日本でもそれをやろうじゃないか、と菅さんは言いました。しかし、ほとんど竜頭蛇尾に終わっていて、林野庁に設置された四つの委員会は機能せず、解体の憂き目に遭っています。
国家戦略室審議官だった梶山恵司さんが、退任後、朝日新聞のインタビュー記事で、ちゃんと仕事ができなかった残念無念を語り、官僚機構の度し難さについて述べていましたが、政治がしっかり機能していたら、それは突破できたことで、民間から就任した梶山さんを守らないばかりか、追い込んだ連中に怒りさえ覚えます。

「コンクリートから人へ」の「成長戦略」が、この政権の肝だった筈なのに、そこが崩れてしまいました。
再生エネルギーしかり、耐震改修しかり、観光産業しかりです。

同党は、結局、何事も成しえなかったとの見方が、この選挙において、壊滅的投票行動を呼び込んだと思われてなりません。国会での安部さんとの党首対決で、マスコミは野田さんは矜持を示したと言い、本人も昂揚した気分でいましたが、社会の深部にあるところの幻滅を、この首相は何も分かっていなかったのだと思います。

もしニューディールが実現され、新しい雇用が生まれていたなら、この選挙は、違う結果が出たと思っています。

今、わたしが恐れているのは、2%のインフレはいいけれど、住宅分野で予想される、消費増税による「駆け込み受注」とそれによる建材高騰を、それに加算してほしくないということです。
木材の国産化率50%に、長伐期林業を阻害する皆伐材をカウントするのと同じで、自民党はそれを成果にして、景気は上昇したと言って参議院選挙に臨んでほしくありません。

こういうウソをマスコミは、ていねいに記事にすべきです。
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# by sosakujo | 2012-12-20 04:14
富山「野の家」のこと
富山上市の前川建築さんが、地元の古民家を購入され、それを改修してモデル&事務所にしたいという計画を立てられ、建築家と工務店が集まって検討会が開かれました。

わたしは、この検討会の企画者なのに身体を悪くして出席できませんでした。
九州・悠山想の宮本さんや、広島の沖田会長、それから出雲から7時間も掛けて、藤原木材産業の藤原さんが駆けつけて下さり、とてもいい勉強会になったという報告を受けました。

先週、金・土曜日に、遅ればせながら訪問を果たし、明治時代に建てられた古民家を見て参りました。500坪の敷地にゆったりと建てられていて、建物は70坪の平屋建、奥に蔵があり、最近、建て増しされた建物が渡り廊下で結ばれていました。

上市は、古来より立山修験の裏参道に通ずる場所として知られ、馬場島(ばんばじま) は、標高2999メートルの剱岳の登山口として知られ、、「試練と憧れ」の石碑が建っています。
上市には、幾つかの製薬会社がありますが、そのルーツは「富山の薬売り」です。あの独得の販売方式が、ここから生まれたのですね。またコシヒカリの父として知られる杉谷文之の出身地であり、最近では上野千鶴子さんが気をはいています。
富山市と比べると温度が4~5℃低く、冬季は雪が非常に多いことから、「特別豪雪地帯」に指定されています。町の花は、リンドウです。

前川さんは、この家をお蔵付で購入されましたが、怖くて、まだ開けておられないということで、鍵を持ってきていただいて中を見ました。冠婚葬祭、季節ごとの設えの道具がいろいろ置かれていて、輪島塗りの漆器の数は半端でない量でした。
近くの魚津は米騒動の発祥の地なので、小作制度の庶民レベルの生活は決して楽ではなく、だから、ここから全国に薬売りが飛び出していったのだと思いますが、旧家の生活は、文化的な厚みを持っていたことが、このお蔵から伺えます。

改修設計は、河合俊和さんが担当されます。エネルギーは、武山倫さんにバックアップしていただきます。

どこを、どのように改修するか、本丸の古民家に手をつける前に、増築分を改修したらどうか、というのが河合さんのお考えでしたが、わたしは今回の訪問で、いきなり「本丸(古民家)」の改修を申し出ました。
というのは、掛けられるお金が限られており、いつまで経っても本丸は手付かずでは、何のために購入したのか分らなくなるからです。

その角度から、時間を掛けて、本丸をためつすがめつ検分しました。
そうして、前川さんも、河合さんも、本丸改修ということで一致を見ました。
折に触れ、ビフォーアフターの顛末を、このブログで追っていくことにします。
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# by sosakujo | 2012-10-29 09:51
石原東京都知事の辞職表明を聞いて
辞職を表明した石原慎太郎東京都知事を、英BBC電子版は「愛国主義的かつ物議を醸す発言で知られるベテラン政治家」と評しました。ただの辞職ではなく、国政復帰を表明しての辞職であり、物議を醸し、国政への影響力行使を狙っての動きです。

この知事は、脱原発の動きを冷笑し、この国の経済を考えないヤカラと言う人でした。尖閣については、「サムライたれ!」といい、ここでは一転して、経済なんかにとらわれるな、と言いました。
脱原発を言い続けることが、わたしは真の侍だと思うけれど、そしてこの二つの話に整合性はないけれど、知事の頭の中では奇妙に統合されているのでしょうね。

英BBCの「愛国主義的かつ物議を醸す』政治家という評価は、このあたりを指しているように思われます。

これで日本の政治は、なおいっそう騒がしくなりそうです。
政治のテーマに、「憲法」が顔をだすことになることでしょう。
「美しい国」を言った安部さんも、民主党の前原さんも、「維新」の橋下さんも、腹の中は「憲法改正」論者なので、それらの勢力が、選挙次第では、憲法改正に必要な3分の2を超えるかも知れません。

彼らはポピュリズムの名人たちでもあり、官僚政治の打破を言い、動かない政治を言い、「憲法改正」も触れる程度で、票を集めようとするでしょう。真の狙いは「憲法改正」です。

今の憲法は、「戦後の青空」みたいなものですが、戦争をしない国を言っているのは、その前の戦争の悲惨を踏まえてのことで、今も戦争・紛争の悲惨が続いている地球にあって、それ自体が、希少価値だと思っています。

「空気で動く」この国の危うさを考えると、選挙後、一気に「憲法改正」が浮上しそうです。
選挙中はバラバラでしょうが、選挙後、「愛国勢力」の結集が起こりそうです、

それでいいのかどうか、一人一人が問われる局面をむかえたと、辞職表明を聞きながら思いました。

わたしは、村上春樹が言う「壊れるたまごの側」に立ちたいと思っています。
そういえば、村上春樹がノーベル文学賞を逃したとき、石原知事は、このときとばかり、鬱憤を晴らすように、あれは「国籍不明の文学だ」という談話を語っていましたっけ。
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# by sosakujo | 2012-10-26 03:50
びお「夏の学校」と、連載原稿と、本づくり
9月4~6日まで北九州で、びお「夏の学校」を開催します。
このところ、その準備で追われています。というのは、この学校でポスト3.11の住まいづくりの方向を打ち出そうと考えていて、新建ハウジング「プラスワン」に連載している原稿を、そのテキストにしたいと考えて、3回分の原稿を書き上げたからです。

テーマは、「スタンダードハウス考」としました。
とてもむずかしいテーマなので、ウンウンと唸りながら書きました。といっても、集中して書ける時間がないので、深夜に書くか、遠距離出張の列車の中ということになります。

この連載は、ついに50回を超えました。
1月号は別特集が組まれるので年11回、4年半になります。毎回5000文字前後の分量なので、案外、大変です。締め切り前には原稿を届けることを、自分に強いていますが、今回は3回分の原稿を書き上げているので、当面、書かなくて済みます。他の連載もあるので、のんびりはできませんが・・。

この連載をまとめた本を出すことになっていますが、その前に『びおハウスの学校』という、310ページの大著を編集しなければなりません。本の骨子は、何回か打ち合わせを行い、ほぼ固まりました。これから台割に掛かります。年内にまとめあげて、来年3月11日までに発行したいと目論んでいます。
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# by sosakujo | 2012-09-01 15:55
再生エネに対する経団連会長の恫喝について
今朝(7/28)の朝日新聞東京版に、政府が示す2030年の原発割合の三つの選択肢に対する、経団連など経済界の批判記事が出ていました。

この三つの選択肢は、そもそもおかしなもので、15%を落としどころにするための茶番劇だという批判があって、各地で開かれている「意見を聞く会」は、電力会社に勤める人が登場したりして物議を醸し、信用のおけないパフォーマンスとしかいいようがありません。

経団連の批判は、この三案ともに批判的です。
その理由は、要するに、一番多く原発を残しす25%では足りない、新設を含め、もっと多くていい、という指摘です。

殊に、再生エネに対して懐疑的です。
現在90万戸の光発電設置住宅を2030年に1200万戸に増やす0%案を、米倉弘昌経団連会長は「過度に楽天的」だと批判します。そんなことやれっこない、と見ていて、経済成長を犠牲にし、企業の海外移転を加速させ、「日本からものづくりが消える」と恫喝します。

しかし、インドではスズキが、中国江蘇省では王子製紙が、現地の反発を買い暴動に発展しており、そうしたリスクを負っています。企業は、前後左右を考えて海外に進出しており、原発を再稼働すれば海外進出が止まるかのような言い分は片腹痛い話です。産業の空洞化の原因は、もっと構造的なものであり、たくさんの原発が動いていた時に起こったことでした。

経団連が、経済界の考え方を代表するものではなく、原発に頼らない電力のあり方を模索する企業も少なくありません。「脱原発」が、新しい経済成長を生み出す動力になることもあるわけで、米倉さんの考えは視野狭窄だと思います。この人は、東電の関係者かと思うほど、東電擁護の記者会見を繰り返しています。

再生エネの買い取りが開始され、電気代値上げになることから、早速というべきか、設置者とそうでない人との対立を煽り立てる報道が目立ちます。買い取りを進めたドイツでも大問題になっているとの注釈つきの報道ですが、ドイツは2050年までに一次エネルギーの50%を再生可能エネルギーで賄う計画を持つ国です。再生エネを増やし、2020年までに脱原発を打ち出しました。
しかし、日本はまだ取るに足りない取り組みしかやっていません。3.11を経て、ようやく目を向け出したという状態です。これを味噌も糞も一緒にして論じることは出来ません。

私は、再生エネ買い取り分を、そもそも電力代金に上乗せるやり方に賛成できません。
政府が、再生エネにどれだけ予算を組み、どう進めるのか、その大きなデザインがないことに、この問題の根があります。
決められる政治というけれど、決めているのは原発再稼働であって、グリーン・エネルギーへの懐疑という点で、この国の首相は米倉経団連会長と同根と見てよいでしょう。
 
知っておきたいことは、電気代には、すでに月100円の電源開発促進税が入っていることです。年4000億円、主に原発関連に使われてきました。原発に費やされた政府の財政支出は天文学的なもので、どれだけのお金が原発に使ってきたことか。
今回の原発事故のツケも、電力代金に上乗せされていますが、目の敵にしているのは再生エネで、日本の支配層は、自然エネルギーに、ちょっと予算を使うと、ブーブー文句をたれます。

もし、再生エネに、原発に匹敵する予算が使われたなら、この国のエネルギー構成は根本的に違ったものになるでしょう。視野と度量が狭く、12000年先まで危険な核のゴミをため込む原発依存を、この災厄を経て、なお推進しようという動きは、まことに困った人たちだと言わなければなりません。

恫喝に屈せず、淡々と、めげないで、執念深くエンド・ユース・アプローチを追いたいと思います。
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# by sosakujo | 2012-07-28 06:26